12分野でみるくらしの課題・要望

1 障害者福祉制度・政策に対する基本的な要望

  1. (1)障害者権利条約の理念を国、自治体行政に活かすこと
  2. (2)総合福祉法に、障害者当事者の意見を反映すること
  3. (3)介護保険制度の充実をもとめるもの
    • ・自己負担金の障害者減免制度の創設
    • ・各サービス毎のコミュニケーション保障など聴覚障害者対応の充実

2 聴覚言語障害者問題、支援に対する国民的な理解を求める要望

  1. (1)安心・安全の街づくり、地域コミュニティづくりをすすめること
  2. (2)あらゆる聴覚言語障害の障害理解を促進すること
  3. (3)障害者権利条約の「合理的配慮」理念を府・市民へ普及すること
  4. (4)コミュニケーションバリヤフリーを推進するもの
    • ・手話奉仕員、要約筆記奉仕員養成事業の各市町村毎年開催

3 当事者活動の推進に関する要望

  1. (1)当事者活動を推進するもの
    • ・独りぼっちの聴覚障害者、在宅化している聴覚障害者の実態把握

4 福祉サービスの充実等への要望

  1. (1)高齢者関連の介護機能の充実を求めるもの
    • ・聴覚障害者(中軽度難聴者を含む)への専門的な介護機能のある高齢者施設の設置
    • ・盲ろう者への支援機能のあるグループホームなどの設置
  2. (2)現事業のさらなる充実をもとめるもの
    • ・梅の木寮、栗の木寮の個室化
    • ・ふない聴言センター事業の充実
    • ・亀岡市福祉センター聴言事業の充実
    • ・小町など地域活動支援センターの利用時間の延長
    • ・さんさん山城の利用時間延長・範囲の拡大
  3. (3)障害認定及び、聴覚障害者用補装具・日常生活用具の給付条件の充実等を国・府・市へ求めるもの
    • ・人工内耳施術費用の補助
    • ・人工内耳・補聴器を必要とする聴覚障害児・者への支援
    • ・障害の認定基準の緩和
  4. (4)京都府に聴覚言語障害者への情報提供・自立支援のための施設設置を求めるもの
    • ・京都府聴覚障害者情報提供施設の設置
    • ・自立支援のための各地域支援センターの設置
    • ・京都市内に4カ所の地域活動支援センターの設置
  5. (5)聴覚障害児支援の充実を求めるもの
    • ・聴覚障害児のためのデイサービス
    • ・難聴幼児のための支援の充実
  6. (6)専門職の配置等に関するもの
    • ・介護関連専門職への聴覚言語障害者理解、コミュニケーション技術等の研修
    • ・聴覚言語障害者支援専門職の積極的配置
    • ・聴覚言語障害当事者専門職の積極的配置

5 コミュニケーション支援の充実強化の要望

  1. (1)コミュニケーション支援事業についての利用料負担を求めないこと
  2. (2)担い手の質・量共に養成の充実を求めるもの
    • ・若手の担い手養成を強化するために京都市、京都府の予算増額
    • ・盲ろう介護者の担い手増員確保
    • ・各養成のための専門的力量のある講師の育成
  3. (3)各派遣事業の充実を求めるもの
    • ・手話通訳者・要約筆記者・通訳介助員の健康管理の充実
    • ・要約筆記者派遣・盲ろう通訳介助者派遣のコミュニケーション業務の確立
    • ・派遣単価アップ、24時間派遣依頼体制の整備
    • ・パソコン要約筆記者の派遣事業確立
    • ・資格取得のための連続講座等派遣範囲の見直し
  4. (4)担い手の雇用・配置の充実を求めるもの
    • ・行政への手話通訳者雇用の条件を整える
    • ・行政配置の非常勤手話通訳者の正規職員化
    • ・福祉事務所配置手話通訳者の聴覚障害者対応の専門性向上
    • ・全ての市町村に手話通訳者の配置
    • ・医療機関への手話通訳者の正規職員配置
    • ・各京都市区役所へ要約筆記者の配置

6 聴覚障害児教育において、聴覚障害児のアイデンティティを育み、学ぶ環境を整えるために

  1. (1)教育環境を整えることを求めるもの
    • ・ろう学校児童・生徒の放課後支援
    • ・ろう学校教職員に聴覚障害者の採用など専門性向上
    • ・手話等のコミュニケーション技術の向上
    • ・親の会、当事者団体等の意見の反映
    • ・ろう学校等でのコミュニケーション保障の充実
  2. (2)新たな社会資源の開発を求めるもの
    • ・舞鶴分校中学部の再開、南部地域に新たな分校の設置
    • ・早期療育支援の充実、難聴学級の増設

7 日常生活における情報アクセスの向上及びコミュニケーションの保障の要望

  1. (1)公共施設及び交通における情報アクセスの向上を求めるもの
    • ・京都市各図書館への聴覚言語障害者関連情報の整備
    • ・京都府全域の公共施設での情報保障機器の整備
    • ・行政庁舎、交通等における情報アクセスの向上
    • ・京都市聴覚言語障害センター施設・設備のバリヤフリー

8 職業保障に関する要望

  1. (1)就労の場の保障を求めるもの
    • ・就労の場の拡大
    • ・福祉的就労の条件改善
    • ・行政機関での聴覚言語障害者の雇用
  2. (2)学習やスキルアップの機会の拡大を求めるもの
    • ・職業紹介における情報保障
    • ・情報リテラシーの向上、職業訓練の充実

9 政治参加に関する要望

  1. (1)議会等の情報保障を求めるもの
  2. (2)選挙環境を整えることを求めるもの
    • ・国政選挙、知事選挙等の自治体選挙での政見放送の情報保障
    • ・投票行動のアクセスの向上

10 相談支援に関する要望

  1. (1)吃音障害者にたいする相談支援の強化を求めるもの
  2. (2)介護に関する相談支援の専門性向上を求めるもの
    • ・手話のできるケアマネジャー養成
    • ・地域包括センター等相談担当者への研修
  3. (3)中途失聴者・難聴者支援を求めるもの
    • ・「耳の相談会」の各行政区開催等難聴者支援の強化
    • ・ピアカウンセラーの配置・増員
    • ・心理的ケアの充実

11 文化・スポーツ活動に関する要望

  1. (1)文化活動への支援を求めるもの
    • ・市民祭り等への出店
    • ・行政の広報、行事における情報アクセス、コミュニケーション保障
    • ・当事者団体全国大会への支援
  2. (2)スポーツ活動への支援を求めるもの
    • ・学校等スポーツ施設の開放
    • ・京都市障害者スポーツセンターの充実
    • ・障害者活動支援のための人材の育成
    • ・障害者団体のスポーツ活動の育成・強化のための行政支援

12 緊急・災害時支援に関する要望

  1. (1)消防署等の対応に関するもの
    • ・緊急時の手話通訳依頼システムの構築
    • ・消防職員のコミュニケーション対応充実
    • ・聴言センターを福祉避難所に

おもな特徴点

 聴覚言語障害者のくらしの課題には、その障害と関わって情報の取得やコミュニケーション、地域社会での人とのつながりなどのくらしにくさが指摘され、今回の課題整理でも、その点は依然大きな課題となっています。
 同時に2008年調査(京都市内対象)では、以下の2点の特徴をみることができます。

  1. 1.高齢単身者、高齢夫婦世帯の割合が多い
  2. 2.無業者層の割合が多い

聴覚言語障害者世帯の生計中心者が、高齢、退職、失業、障害、疾病等の理由で、就業していない「無業者層」が46%と最も高くなっています。臨時、日雇い、パート、派遣など不安定就労者層と合わせると全体の6割を超え、「無業者層」の7割近くが通院していることも明らかとなりました。
 くらしの基盤の不安定さや、地域的なつながりの脆弱さ、さまざまな暮らしを支える福祉サービスの不十分さは、12分野におけるくらしの課題・要望事項における「福祉サービスの充実」「コミュニケーション支援の充実強化」「日常生活における情報及びコミュニケーション保障の3項目の割合が全体の6割(注3)近くに及んでいることでも裏付けられます。健康問題や介護問題の解決を望むくらしの要望は、今回の課題整理の中でもさらに明らかになりました。

(注3)
福祉サービス26.2% コミュニケーション支援の充実強化22.1%
日常生活における情報アクセスの向上及びコミュニケーション保障10.2%

事業目標・計画の推進のために

 事業の遂行にあたっては、法人の各事業所と当事者・家族団体、支援団体等の協力関係が欠かせません。また京都府、京都市をはじめ各行政の理解による聴覚言語障害者施策の推進を望みます。
 同時に、新たな社会資源(ハード・ソフト)の開発も必要であり、法制度の整備、制度の改善等社会に共通するシステムの向上にむけ、京都聴言ネットが一体となった運動を進めていく必要があると考えます。